2025年度 第2回連続講座を12月3日(水)に開催いたしました。
講師 松岡 秀紀(まつおか ひでき)さん(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)特任研究員)
演題 「ビジネスと人権 ~地域社会・学校・行政の視点から考える~ 」
講演内容は、企業と人権、ビジネスと人権というと、関係が薄いような印象を受けたり、自分たちとは遠い課題だと感じますが、実はとても身近なテーマであることに気づいてもらえるよう、地域社会、学校、行政の視点からお話をしていただきました。また、人権とは何かを捉え直し、幅広く考えてみる契機にしたいということも伝えていただきました。
我々の身の回りにある物やサービスは、ほとんど企業が作ったもの、あるいは運営しているもので、これらで我々の日常生活が成り立っています。その作ったり運営したりする過程には多くの人たちが関わっていることを事例を挙げながら説明していただきました。企業活動と関連する課題(環境破壊や事故による犠牲・製品の安全性・労働環境の整備・長時間労働・児童労働・強制労働・外国人労働者の権利・雇用職業上の差別・ハラスメント・マイノリティ〔女性、LGBTQI+、障がい者、アイヌ、被差別部落、在日コリアン等〕への差別・障がい者への合理的配慮・消費者の権利・AIによる人権侵害などの人権課題)が、私たち一人ひとりの生活と直接的・間接的に結びついているということを示していただきました。これら企業の事業活動による「負の影響」の課題解決に向けて国連が定めた「ビジネスと人権に関する指導原則」について、“人権を保護する国家の義務”“人権を尊重する企業の責任”“救済へのアクセス”の3つの柱で国と企業が取り組むことを求めていることを説明していただきました。
最後に、ビジネスと人権の視点をどう生かすか、ということについて話されました。人権は長い歴史の中で人間が作り出したルールです。思いやりで人権問題はすべて解決するかと言えば不十分で、人権が保障されるには意識や心の問題だけでなく、社会の仕組みや制度を問い直すことも必要になるとご示唆いただきました。また、教育活動を子どもたちに教育を提供するという広い意味での事業活動と捉えれば、企業の活動と同様、子どもたちをはじめ関係する人々に「負の影響」を及ぼしてはいないか、と考える「ビジネスと人権」の考え方は学校にも有効な視点を提供できるのではとアドバイスしていただきました。
そして、行政においてもたくさんの部署がある中で“人権”の名称が付いている課は少ないですが、障がい者、子ども、高齢者、と視点を変えたり、市民生活のすべてが人が生きるということに関係しているという視点、また行政内部での人事や労働問題などの視点を加えたりすると、全ての部署が“人権”にかかわりのある仕事をされているのではないか、そして、すべて人に関わる仕事なので、人を大切にすべきという原則(人権尊重)を持って臨まないといけないのではないかと提起していただきました。
参加者は337人

